曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

そのたったひと言で

家から一番近い病院へ健康診断を受けに行った。特別悪いところがあるわけではなく、健康を証明する診断書の提出が必要になったのだ。 病院では、既往歴や内服薬があるかどうかを必ず聞かれることになる。 年齢のせいか見た目のせいか、何もないことを前提に…

夜を蹴る

なんでもよかったのかもしれない。ただ漠然と、何か新しいことを、新しい何かに、飛び込みたかった。 検索ボックスに文字を叩き込み、フィットネスジムを探した。その中から一番良さそうな所を選び、体験レッスンにほとんど突発的に申込みをしてしまった。新…

古き良きもの、シルクスカーフ

春はなぜか頭にスカーフを巻きたくなる、のは私だけだろうか。頭に巻きたくなる、と言うと変なように聞こえるが、春のようにやわらかい色や素材を身につけたくなるのだ。 隣の隣のまたその隣の街で、リサイクルマルシェをするというので出かける準備をした。…

ぐるぐる思考を止める

コーヒーにミルクを入れてかき混ぜるように、思考がぐるぐると回る。渦を巻いて、ぐるぐるぐるぐる、ぐらりぐらりと。 一度回り始めるとそれは次第に加速し、まるで永久機関であるかのように回り続ける。もしそれが本当に永久機関のようであったなら、エネル…

ただそう思っただけその2

仕事を辞めると上司に伝えた時に帰ってきた言葉は「気づいてあげられなくてごめんね。」 という言葉だった。どうしてその言葉がしっくりこなかったのか、今になって分かったような気がした。洋服を前後ろ逆に着てしまった時のような(自分でも驚くが、実際よ…

どこにでも行けるのに

今週のお題「行きたい国・行った国」 特別理由はないが、いままで海外へ行ったことがない。もしかしたらこれからどこかの国へ旅するかもしれないし、どこかの国に住むかもしれない。しかし今のところその予定はない。本屋に行けば旅行雑誌を立ち読みすること…

それはそうと、お元気ですか

「自分を護るための嘘なら時に付いてもいいのよ。」 例えば、本当は用事なんてなくても、そういうことにして帰っちゃうときがあってもいいんだからと。学生時代にそう教えてくれた先生が、精神安定剤を服用していたことを後に知った。それから、早期退職をし…

忘れられない言葉たち

「生きているだけでお金かかるよね。」 と言われたことがある。 私が持病をもっていて、病弱であることに対しての一言だった。 病院の受診代に薬代、手術費用や入院費、そうでない人と比べたら確かにそうなのだろう。しかし実際のところ、それは本当の意味で…

海は悲しい

いつのことか、湖の見えるところに住みたいと思ったことがある。 朝、太陽の光に照らされてきらきらと輝く水面はどうしようもなく美しく、それでいて昨日の騒音は湖底に全て吸い込まれたかのように静かだ。 風が吹けば、ほとりでは波の音だけが聞こえる。時…

変わりゆく答えの問題

たった今この瞬間に、この世界で涙を流している人は何人いるだろうか。 ただし、涙の意味は問わない。 涙、それは分泌物。それは液体。 それは、思いやり。 流した涙はいったいどこへいくのだろう。 涙はまわる。それは雲となり、雨となる。 いつかの雨は、…

髪や爪を切るということ

髪を切ったのはいつだったろうか。そろそろ伸びてきた髪を切りたいと思い始めている。髪を切る時期は大抵いつも同じような気がする。私の場合は、何かの節目に切ることが多い。そういう時、人はどうして髪を切りたくなるのか。 髪の長さは人の心とどこか通ず…

ただ思ったこと

どんなに隙間なく両手で掬っても、指の間からさーっと砂がこぼれ落ちていくように、新しい基準やルールを作る時には意図せずそこからはみ出る人たちがいる。どこまでいっても救えない人たちがいるということ。みんな誰かのせいにしたいということ。 人それぞ…

私の持ち物は

実家に戻ってからは、母が結婚当初に買った化粧台を机として使っている。天板の一部に曇りガラスがはめ込まれており、引き出しは桐で作られている。大きな鏡が付いていたのだが、幸い取り外せるようになっていたため、小さな化粧台でも机として使うことがで…

兄と石マカロン

今週のお題「手づくり」 いつからか作らなくなったのだが、毎年バレンタインデーの時期になると何かしらのスイーツを手作りしていた時期がある。ブラウニーにクッキー、生チョコにマフィン、手軽に作れるものは一通り作った。 それは誰かにあげるために作る…

春が来たら

雪が雨に変わる。轍(わだち)に雨が跳ね返る。跳ね返った雨がライトで照らされる。雨はやがて雲となり、また雨となる。 車で1時間半かけて大学病院へ通っている。退院してから3週間、治療後初めての外来受診である。今回の治療は上手くいったのだが、いづれ…

踏まれても踏まれても立ち上がらない

「傷つける人が傷つける」 そんな言葉を目にした。 それはどうしようもないのだろうか。どうすることもできないのだろうか。 雑草は、踏まれても踏まれても立ち上がると誰かが言った。 けれど、雑草は踏まれても踏まれても立ち上がらなかったから生き残って…

ごめんねゴディバ

スーパーやコンビニにお洒落なパッケージがぎゅうぎゅうに並べられ始めると、ああそうか、バレンタインデーかと思い出す。 1月、母とアウトレットストアに行った時のこと。母は1年前のバレンタインデーに販売されたゴディバチョコレートをおおよそ半額の値段…

眠りにつく前

こうして朝から夜まで煌々と光るパソコンの前にいると頭がおかしくなりそうですね。人は頭がおかしくなると妙に話し方が丁寧になったりするようです。正確には話し方ではないですが。 働くのには働く前から色々と準備があるわけで、その準備にここ数日明け暮…

恋が遠くで聞こえる

学生時代の友人に9ヶ月ぶりに会った。自分から話がしたいと誘ったので、なんとなくお礼も兼ねて、彼女が好きな紅茶のパックを数個買って持っていった。私はちょっとした手紙や物をよく人にプレゼントすることが多い。 「そう、最近紅茶を飲むのを頑張ってる…

洋服にかけるお金

今週のお題「かける」 残り19,893円。今年の初め頃、1年間で洋服や靴にかける金額を決めたのだ。 靴を一足と、小さな鞄を一つ、それから白シャツとカーディガン。ノートに買ったものと金額を書き記している。洋服は滅多なことがない限り買うことはあまりない…

色褪せない花と壊れゆくもの

それは毛糸で規則的に編まれたように緻密で、神秘的な雰囲気を纏っていた。花屋で見かけ、妙に惹かれて思わず買ってしまったそれは、シルバーブルニアという花らしい。 それを買ったのは1ヶ月も前のことで、花瓶の水は既に干上がっていた。しかし変わったの…

服がしっくりこない

クローゼットはガランとしていた。以前よりずっと増えた空のハンガーは、どこかきまりが悪そうに並んでいる。一体どれほど洋服を捨てただろう。いつからか綺麗な洋服が似合わなくなった。 社会人になって1年が過ぎた頃、私は登山サークルに参加した。知らな…

何もない日、何もしない日

朝、起きてすぐに温かい飲み物を飲み、少しぼーっとしてから読みかけの本を開く。それからノートパソコンを開いて応募先のホームページなんかを見ていると、突然音が鳴り響き、それが電話だということに気がつくのに3秒ほどかかった。職探しの間、単発のアル…

散らかる部屋、ブッダボウル

どうしてこんなにも物が溢れてくるのか。テーブルの上にある物をすべて片付けても、次の日にはテーブルに何かしらのものが雑多に置かれている。置かれているといっても自分で置いたのだが。そしてそれはひとつ、またひとつと増え、気がついたときには散らか…