曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

何もない日、何もしない日

朝、起きてすぐに温かい飲み物を飲み、少しぼーっとしてから読みかけの本を開く。それからノートパソコンを開いて応募先のホームページなんかを見ていると、突然音が鳴り響き、それが電話だということに気がつくのに3秒ほどかかった。職探しの間、単発のアルバイトでもしてみようと昨日応募したのだ。紹介先からの電話だった。

 

それからの記憶は曖昧で、体は生理で重く、まぶたを閉じればすぐに眠ってしまいそうだった。一応、眠気に抗ってはみるものの気がついた時には眠っていて、起きた頃には昼はとっくに過ぎていた。働いていたときも生理の日は決まって眠く、人と話しているときでさえ眠ってしまうのではないかと思うほどだった。

 

お昼を食べようか、食べないか。あまりお腹は空いていなかったが、とりあえず簡単なものを作ることにした。作り始めると大抵お腹は空いてくる。

小さなステンレスボウルに卵を1つ割り入れ、そこに納豆を加えてかき混ぜる。かき混ぜる音が静かな部屋に響き渡る。鉄のフライパンにオイルを引き、十分に熱してからそこにじゅわっと卵を広げ、固まる前に箸で円を描いたり横に動かしたりしてとろとろの卵をほどよく崩す。卵がとろとろのうちにフライパンの端に寄せ、1つにまとめていく。とにかく、とろとろの卵をとろとろのうちに1つにまとめればいい。こうやってふわふわの納豆オムレツを最近はよく作る。卵がフライパンにじゅわっと音を立てて広がる瞬間や、中身が少しとろとろとしているので、上からターナーで少し押さえつけるとふわふわと跳ね返るのが好きだ。無心で作れるのもまたいい。料理をすると、いつでも心は静かに落ち着いていく。

この納豆オムレツは私が小さい頃、母がよく作ってくれた料理でもある。母が作ってくれていたものは、もう少し卵は固まっていたようにも思う。マヨネーズを薄く塗って食べると美味しいのだ。

朝ごはんが絶対的なものとされていた頃、朝何かを食べなければいけないことがとにかく苦しかった。そんな時、これだけはさらっと喉を通り、食べられたような記憶がある。

 

夕方、散歩に出かけた。こういう日は無理に動かな方がいいのだろうが、動かさなすぎるのも体に良くない。外に出て、初めて今日は寒いのだと知った。もう2月、まだ2月。速足で家に戻った。