曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

なんでもないひとりごと

マンションの共通階段には、相変わらず見たこともないような虫の死骸が転がっている。何日目かの蝉は、影でじっと羽を休めている。死を待っているのだろうか。それとも、生き延びようとしているのだろうか。 世界はいつでもひとつではなかった。 ルビーレッ…

ハンガーラック

灰色や緑色から次第に派手なピンクやオレンジが増えていくハンガーラックの洋服を眺めていると、それは唐突に訪れた。 一体誰のためにこんなにおしゃれに着飾っているのだろう。それは無論自分のため以外に他ならないのだが、本当にそれは自分の好みが反映さ…

「君たちはどう生きるか」

生きている者と死んでいる者、食べる者と食べられる者。 生きている者は死へと向かい、死んでいる者は生へと向かっている。 何かを食べて生きている者は同時に何かに食べられる者でもあり、食べられる者もまた別な何かを食べることで生きている。 子供は月日…

願い

今日は時間が止まってしまったかのように、街が静かだ。 マンションのアスファルトの影には、蝉が静かに張り付いている。 朝、ドリップコーヒーに入れるのは黒糖だったけれど、最近ははちみつを入れている。苦味とどろりとした甘さが、朝のぼやっとした脳と…

1日が終わるのを待つ

この気持は一体何なのだろう。登山仲間から送られてくる山の写真を見ても、なにも心が動かない。腕には小さな蕁麻疹がぽつり。友人から送られてくるメッセージが、自分とは関係のない出来事のように、ただ目の前を過ぎる。 滑るように自分の考えや言葉が出て…

繊細なはちみつ

鍋に豆乳を1カップ入れ、チャイのティーパックをひとつ放り込む。ごく僅かな火で静かに煮詰める。決して、煮立たせてはいけない。静かにその時を待つ。 夏の暑さでとろとろに溶けたはちみつをたっぷりと入れる。甘い香りがスパイスの異国の香りとともに引き…