曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

ポトフと最近のこととか

じゃがいも、にんじん、玉ねぎの皮を新しく買ったピーラーでさーっ、さーっと手際よく剥いていく。野菜の皮を鍋にすべて放り込み、沸騰しないようにじっくりと煮る。皮の剥かれた野菜を二等分すると、そのみずみずしさにうっとりする。フライパンにオリーブ…

ヒトリゴト

1人で生きていくには人生は長過ぎて、 2人で生きていくには人生はあまりにも短い。 きっとね、繊細なあなたにはこの世界は鈍感過ぎるから。

水挿し

地元のスーパーには数百円で花や草木が売られているので、地元へ帰ると必ず何かしらの植物を買うことが自分の中で恒例行事となっている。 ドラセナ、サンスベリア、アロマティカス、パキラ、と家の中には小さな緑が少しずつ増えている。 ドラセナとサンスベ…

バナナブレッド

トースターは持っていないと言うと、たいていパン好きの友人には驚かれる。 「じゃあどうやってパンを焼くの?」とか、「パン、焼かないの?」などと責められることも往々にしてある。 フライパンでパンを焼くのが好きなのだというと、「なんでなの?」とか…

本当の愛なんてまだ知らないけれど

冬から春に変わる時、冷たい風の中にほん少しの暖かさを感じる。 2週間ほど、会社を休んだ。というのも、また持病の治療が必要になったからであって、決して自由に遊んでいたわけではない。 休みに入る前、同僚の女性に治療への不安を少しだけこぼした。 治…

笑っていないと

ここにログインするのは、なんだか久しぶりになってしまった。 とくに理由があったわけではないが。 ここにログインして、何かを書こうとするときは、いつも何かに少しだけ苦しんでいる。 笑いながら話しているのに話すことが辛い内容であると、聞いている方…

世界はひとつで

どこまでも青く果てのない空を仰ぎ見ると、世界は一つであるはずなのにどこまでも私たちは一つにはなれないのだということを途方もなく実感する。 花屋でこの前買ったモミの木は浄化作用があるという。花瓶に入れた水が数日立っても透き通っている。こんなに…

あと少しだけ

月明かりに照らされると、寒さが少しだけ和らぐ気がしている。どうしようもなく辛い時、好きな人たちの顔を思い出すと胸の痛みが少しだけ和らぐように。 なにかを書きたいのに、なにも書けない。 そんな日は、あと少しだけ恋をしていたい。

あ、秋。

街路樹のもみじが紅葉しているのを見て、そういえば秋だったのだと思い出す。秋は何も言わずに通り過ぎる。気がつけば秋を追い越すように冬が来て、遠慮なく居座るのだ。 先週末、通院している大学病院へ行った。まだ大丈夫だという気持ちと、疑う気持ちとで…

人と会った日は

帰り道、今日も月はきれいだなと思う。じっと月を眺めていたいけれど、寒さは苦手なので急いで部屋に入る。 人とたくさん話した日は、帰ってから玄関でお香を焚く。檜の香りがついた線香で、香りと共に煙が部屋へと広がると、浮足立った心が平坦に戻っていく…

この暴力的な世界で。

ベーコンにじゅわじゅわと焼き目をつけ、にんじん、じゃがいもを加えてベーコンの油となじませる。お湯を加えてぶくぶくと沸騰させて柔らかくなったら味噌を入れてひと煮立ちさせる。香ばしい匂いで満たされた味噌汁を飲む。幸せなんてそれだけでいいんじゃ…

どうしたって合わないもの

インターネットを見ているとあれもこれもと欲しくなってくるのに、いざ買い物に出かけると何も買わずに帰ってくる。欲しいものなんて最初から何もなかったのだ。 仕事でどうしたって合わない人がいる。 どんな意見をどう伝えても無視されるので、ついに意見…

感傷的なくらいがちょうどいい

8月、どうしようもないほどに食欲がなく、ほとんど無理やり食事をしていた。床にべったりと張り付く鉛のように重い体を起こし、このままではだめになると思い花屋に行った。10分くらい店内をうろうろし、迷った末にユーカリを買った。少し肉厚の葉と小指くら…

なんでもないひとりごと

マンションの共通階段には、相変わらず見たこともないような虫の死骸が転がっている。何日目かの蝉は、影でじっと羽を休めている。死を待っているのだろうか。それとも、生き延びようとしているのだろうか。 世界はいつでもひとつではなかった。 ルビーレッ…

ハンガーラック

灰色や緑色から次第に派手なピンクやオレンジが増えていくハンガーラックの洋服を眺めていると、それは唐突に訪れた。 一体誰のためにこんなにおしゃれに着飾っているのだろう。それは無論自分のため以外に他ならないのだが、本当にそれは自分の好みが反映さ…

「君たちはどう生きるか」

生きている者と死んでいる者、食べる者と食べられる者。 生きている者は死へと向かい、死んでいる者は生へと向かっている。 何かを食べて生きている者は同時に何かに食べられる者でもあり、食べられる者もまた別な何かを食べることで生きている。 子供は月日…

願い

今日は時間が止まってしまったかのように、街が静かだ。 マンションのアスファルトの影には、蝉が静かに張り付いている。 朝、ドリップコーヒーに入れるのは黒糖だったけれど、最近ははちみつを入れている。苦味とどろりとした甘さが、朝のぼやっとした脳と…

1日が終わるのを待つ

この気持は一体何なのだろう。登山仲間から送られてくる山の写真を見ても、なにも心が動かない。腕には小さな蕁麻疹がぽつり。友人から送られてくるメッセージが、自分とは関係のない出来事のように、ただ目の前を過ぎる。 滑るように自分の考えや言葉が出て…

繊細なはちみつ

鍋に豆乳を1カップ入れ、チャイのティーパックをひとつ放り込む。ごく僅かな火で静かに煮詰める。決して、煮立たせてはいけない。静かにその時を待つ。 夏の暑さでとろとろに溶けたはちみつをたっぷりと入れる。甘い香りがスパイスの異国の香りとともに引き…

きのこリゾット

自分のことばかり考え始めると、疲れているのだなと思う。 今日は、何週間か前に特売で大量に買った玉ねぎを使って、きのこの豆乳リゾットを作った。こうして玉ねぎをみじん切りにざくざくと切っている時が、一番無心になれる気がしている。油断すると目が染…

仕事を休んだ日、2日目

ここ1週間食欲のない日が続いていて、徐々に1日のうちの食事がまったく取れなくなった日の夕方、38.6度の熱を出した。 熱を出すことは私の中ではよくあることで、例によって何の薬も飲まずに耐えしのぐのだ。1日中寝てばかりいると体中が痛くなってくる。首…

仕事を休んだ日、ひとりごと

大抵のことはどうにかなるわけで、昨日から高熱が続いていたため今日は仕事を休んだわけだが、それでもいつも通り仕事は回っているようだった。 全ては、良くも悪くも時間が解決してくれると今だに思っている。だから、生きていく上で何かしらのことが上手く…

自由のもとに生まれた私たちの不自由さ

久しぶりに連絡をした友人は、職場で嫌がらせを受けたことでうつになり、休職していた。 「こんなことをされる自分は、少し人とは違うのかもしれない。」 そんなことを言っていた。 人は何にでも、何かしらの理由を探したいのだ。もし物事が起こることのすべ…

幸せであることの恐さ

掴んだと同時に、手放すことを考えている。あるいは、掴んだ瞬間から、手放すべき理由について考える。 最初から掴むこともしなければ、元々自分の人生とはなんら関係のないものであるから、きっと恐れることも傷つくこともないのだろう。 恐れ、苦しみ、切…

少しの優しさと

ありがとうがさようならで、またねが永遠にないことで、大丈夫が大丈夫ではなくて。 そんなありふれた嘘でつくられた世界で、優しさを受け取れる人は案外希少なのだ。 「これって他の人も水あげてますよね?」と声をかけてきたのは、職場にいるがたいのいい…

仕合せ

人生というのは基本的に辛くて苦しい。それがベースであるのだから、幸せを求めることなどは決してしない。そのほうがずっと楽だからだ。 冷たい雨が降りしきる中でそっと小さな傘をさすように。あるいは、暗くて永遠と続く海の中にかすかな光が射し込むよう…

太陽が沈む時、旧友と会ったこと

夕刻、太陽は毎日沈む。 毒々しい真っ赤な夕焼けもあれば、グレナデンソーダのように爽やかな夕焼けもある。 夕焼けは、どうしてこんなにも人を恍惚とさせるのか。 一日の中で最も好きな時間は夕暮れ時だと思う。いつまでも夕焼けの中に染まっていたいと思う…

生と死、ドウダンツツジその2

自分の中ではすでに解決したことを、時間を置いて周囲に問題として扱われることがたまにある。それは、潜在している物事が表在化するまでには、ある程度時間がかかるから仕方がないことなのかもしれない。ただ、せっかく田畑を耕して土に埋めた種を、こっち…

立ち止まる

まだ大丈夫だと耐えられる時と、もう駄目だと耐えられなくなる時、それは一体どこでどう違ってくるのか、そこの境界は何であるのか。それはもちろん自分の中だけにあるもので他人とは異なるものであるから、自分以外は誰も知る由もない。 心は実態のないもの…

重さのこと、ドウダンツツジ

本当のところはよく知らないが、朝が1日の中で最も体重が軽いのではないかと思う。 それは、水分がどうとかいう話ではなく、朝は何もまだ目にも頭にも体にも情報が入っていないからだ。人の体の中で一番重いのは、もっとも、感情なのだ。 だから目を開いた瞬…