曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

少しの優しさと

ありがとうがさようならで、またねが永遠にないことで、大丈夫が大丈夫ではなくて。 そんなありふれた嘘でつくられた世界で、優しさを受け取れる人は案外希少なのだ。 「これって他の人も水あげてますよね?」と声をかけてきたのは、職場にいるがたいのいい…

仕合せ

人生というのは基本的に辛くて苦しい。それがベースであるのだから、幸せを求めることなどは決してしない。そのほうがずっと楽だからだ。 冷たい雨が降りしきる中でそっと小さな傘をさすように。あるいは、暗くて永遠と続く海の中にかすかな光が射し込むよう…

太陽が沈む時、旧友と会ったこと

夕刻、太陽は毎日沈む。 毒々しい真っ赤な夕焼けもあれば、グレナデンソーダのように爽やかな夕焼けもある。 夕焼けは、どうしてこんなにも人を恍惚とさせるのか。 一日の中で最も好きな時間は夕暮れ時だと思う。いつまでも夕焼けの中に染まっていたいと思う…

生と死、ドウダンツツジその2

自分の中ではすでに解決したことを、時間を置いて周囲に問題として扱われることがたまにある。それは、潜在している物事が表在化するまでには、ある程度時間がかかるから仕方がないことなのかもしれない。ただ、せっかく田畑を耕して土に埋めた種を、こっち…

立ち止まる

まだ大丈夫だと耐えられる時と、もう駄目だと耐えられなくなる時、それは一体どこでどう違ってくるのか、そこの境界は何であるのか。それはもちろん自分の中だけにあるもので他人とは異なるものであるから、自分以外は誰も知る由もない。 心は実態のないもの…

重さのこと、ドウダンツツジ

本当のところはよく知らないが、朝が1日の中で最も体重が軽いのではないかと思う。 それは、水分がどうとかいう話ではなく、朝は何もまだ目にも頭にも体にも情報が入っていないからだ。人の体の中で一番重いのは、もっとも、感情なのだ。 だから目を開いた瞬…

価値のない希少な確率

「ねえ、同級生と同じエレベーターに乗り合わせる確率ってどのくらいだと思う?」 そんな私の唐突な質問に、友人はぽかんとしていた。 友人は私の今からする話を、なにかしらのときめきを感じる話であると思ったらしい。 だがそんなはずは、ない。 1ヶ月前、…