生きている者と死んでいる者、食べる者と食べられる者。
生きている者は死へと向かい、死んでいる者は生へと向かっている。
何かを食べて生きている者は同時に何かに食べられる者でもあり、食べられる者もまた別な何かを食べることで生きている。
子供は月日が経てば大人へと成長し、大人は次第に子供へと戻っていく。
生と死は常にどこにでも混在している。それは悲しみであると同時に慈しみでもあり、許しでもあるということ。何かを傷つける者は、同時に己自身も傷ついている。
朝、太陽が登れば月は沈んでいき、月が登れば太陽は沈んでいく。時間は常に動いていて、一瞬も止まらない。絶えず生と死を繰り返す細胞できたこの体の中を真っ赤な血が絶えず波打つ。それが止まる時、それは死を意味する。
眞人(まひと)。アオサギから「お前の名前からは死の匂いがぷんぷんする」と言われる主人公の名前。「眞」という漢字は自分の名前にも入っているので少しどきりとした。意味は、真(まこと)。死者を意味する。この世で唯一絶対的な真実があるとすれば、それは死なのだろう。
一瞬たりとも止まらない命。時間という現実が茫漠と過ぎていくこの世界で。