曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

仕事を休んだ日、2日目

ここ1週間食欲のない日が続いていて、徐々に1日のうちの食事がまったく取れなくなった日の夕方、38.6度の熱を出した。

熱を出すことは私の中ではよくあることで、例によって何の薬も飲まずに耐えしのぐのだ。1日中寝てばかりいると体中が痛くなってくる。首はがちがちで、腰も鈍く痛みだす。

今日、2日続いた熱が下がり、ようやく重い腰を上げて病院を探した。引っ越しをすると、新しい病院を一から探さなければならない。引っ越しの大変さは、引っ越しをしてから1年は続くような気がしている。きっと冬は暖房器具を買いに店を回るだろう。

4件ほど電話を掛けたが、3件は状態と持病を告げるとあっさりと「うちではみられない」と断られ、1件は電話すら繋がらなかった。こういうことは前にもあった。どうやら病院のたらい回しに合う運命なのかもしれない。

もういいかとも思ったが、2日仕事を休み、上司からはコロナ検査は自分の判断に任せると言われている以上、受診した方が無難なのだろう。

なんとなく最後だと思って掛けた病院は、一番親切に対応してくれた。すぐに診てくれ、持病のことにも理解がある先生だったのでほっとした。

ほとんど誰もがコロナウイルスではないだろうと思うような症状しかなく、先生もはなから疑ってすらいなかったようだった。「まだ検査結果出てないけど違うと思う。」

と言いながら、すぐに診察室へと戻ってきたのだ。

「少しは食べないとね。外は暑いし夏バテしちゃうよ。」

と先生は私のやせ細った腕を見ながら、本当に心配そうに言っていた。

いつの日にか自分の手首ぴったりに調整してもらった腕時計は、何度も何度も自分が見えるように文字盤をくるりと回すほどに、以前よりもずっと痩せていた。

 

どうにかこうにか生き延び、今月ももうすぐ終わろうとしている。

帰ってからは、突然思い立ったかのように生計を見直した。人は弱った時、なぜか検討もつかない将来が不安になり、家計を気にしだすものなのだ。そして、しばしの安心感に少しでも浸りたいのだ。

今日は洗濯したての布団で眠りにつく。

こういう時間が永遠に続けばいいのに、と思った。