曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

空っぽな夜

入院した。3月にも入院したばかりだというのに。

病室の窓から見える立体駐車場が、夜になるとただの四角い空洞になる。空っぽが光で照らされて、影が夜だと妙に幻想的に見える。

空っぽ。心の中でもう一度唱えてみる。空っぽ。響きがなんだか滑稽で惨めな気さえしてくる。

夜の空は果てしなく暗い。こういう時、嫌な記憶ばかりが思い浮かんできて、いけないいけないと今に焦点をもどす。どんな嫌な感情や状況だとしても、それをそのまま受け止める。それ以上のこともそれ以下のことも考えない。心理学の世界ではアクセプタンスというらしい。

この世にあるすべてのことにはもう名前がついているのではないかと思っていた時がある。ただそれはほんの一部にしか過ぎなくて、世界は永遠に広がっている。この世にあるものは、見えている以上に広く深くそこにある。見えないものの方がずっと多いからだ。見えない何かをすがるように生きている。今はそれしかできないから。