曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

すべて雨に流れてしまえばいいのに

空いていると思って駐車した場所は、足元に大きな水たまりができていた。

職場のデスクに飾っているサンセベリアの根が腐りかけていたので、水道水で洗い茶色くなりかけている先端を切り落とした。

 

肝臓が悪いのだという同僚は、明らかにお酒を飲みすぎていた。2週間ほどお酒を絶ち、肝臓は良くなったらしい。その報告を受けた時は同僚と一緒に素直に喜んだが、あとになって心の底には悲しみや怒りがじわじわと湧いていることに気がついた。自分の病気は完全には治らないからだ。お酒が好きな人にとって2週間アルコールを辞めることがどれほど苦痛なことなのか、それはお酒の飲めない私には計り知れないことなのかもしれない。それでも、傍から見たらそれだけで治るのだからと思ってしまうのだ。行き場のないこの感情が、対象のない怒りとなって現れる。ある種の羨ましさと、目の前の現実をどうすることもできない無力さが残った。

 

アスファルトに染み込んだ雨は、土へと染み込む雨と空気中に蒸発してゆく雨に分かれる。それは廻ってまた雨となり私たちへと降りかかる。幼い頃、「今一番最初の雨が絶対私に当たったよ」と雨が降る度にはしゃいでいたことを思い出す。

何もかもが廻るこの世界で、私だけはまだここにいて。