曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

居独

家を出た。

玄関扉の外へ出たということではなく、実家を出たのだ。

特段新しいわけではないが、内装はフルリフォームされているので、なかなか綺麗な部屋だ。

何も置かれていないうちの部屋は良くも悪くも音が響いて、1人なのだなということを否が応でも突きつけられる。

白のつるりとした新品の冷蔵庫の音、大通りが近いので車の通る音がよく聞こえる。たまに、カンカンという金属音が遠くで鳴り響く。

大勢であれば特段気にならない音が、1人だと余計に大きく、耳障りに聞こえてくるものだ。

 

居独。

ひとりの空間を一人で愉しむことをいうらしい。

 

きょどく。

心の中でもう一度唱えてみる。

響きからして、カンと音が聞こえるような静けさを感じる。

滑稽だ。