家を出た。
玄関扉の外へ出たということではなく、実家を出たのだ。
特段新しいわけではないが、内装はフルリフォームされているので、なかなか綺麗な部屋だ。
何も置かれていないうちの部屋は良くも悪くも音が響いて、1人なのだなということを否が応でも突きつけられる。
白のつるりとした新品の冷蔵庫の音、大通りが近いので車の通る音がよく聞こえる。たまに、カンカンという金属音が遠くで鳴り響く。
大勢であれば特段気にならない音が、1人だと余計に大きく、耳障りに聞こえてくるものだ。
居独。
ひとりの空間を一人で愉しむことをいうらしい。
きょどく。
心の中でもう一度唱えてみる。
響きからして、カンと音が聞こえるような静けさを感じる。
滑稽だ。