曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

予感

5月になった。

朝、水の張った田園に射し込む光は、一日のうちでもっとも透き通っていると思う。

きらきらしているものを見るには、朝は明るすぎる。電車に揺られながら、ただ目の前を瞬時に通り過ぎていく景色を眺める。こういう時、ふと頭に浮かぶ人がいる。いつからだろう。いま目の前にその人が座っていたのならどんなにいいかと考える。それはほとんど意識のない作業のようなもので、気がつくと目的の場所へと運ばれていて、はっと我に返るのだ。