曇りの夜は暖かい

兎にも角にも朝が来たら起きなければいけない。

幸せであることの恐さ

掴んだと同時に、手放すことを考えている。あるいは、掴んだ瞬間から、手放すべき理由について考える。

最初から掴むこともしなければ、元々自分の人生とはなんら関係のないものであるから、きっと恐れることも傷つくこともないのだろう。

恐れ、苦しみ、切なさ、悲しみ、妬み、哀れみ

そんな感情が、嫌でもなく、むしろ心地よく感じるほどである。

真っ暗な海の中で、かすかな光が射し込む。小さな無数の泡が上へ上へと上がっていく。無数の泡たちは、小さな宝石のようにキラキラと輝く。

ほんの少しだけ、掴むこともせず、目の前で通り過ぎゆくのを見るだけでいい。

掴んだら泡のようにたちまち壊れて跡形もなく消えてしまうのだから。